【剣術の話し】

薩摩に示現流という剣法があります。稽古はひたすら面打ちだけを繰り返す、ただそれのみです。初太刀にすべてをかける。それがかわされたらその後は諦めて死ぬ。ですから他の練習はありません。

面打ちだけといっても、一日に千回やれば、1年で36万回、10年なら360万回以上繰り返され、深く身についた速い太刀打ちをかわすことの出来るほどの者は、そうはいません。

 

逆に、いろいろなテクニックを駆使して大いに栄えたのが江戸時代の各千葉道場です。北辰一刀流始祖・千葉周作も、示現流のように愚直に基本動作を繰り返すことの強さをよくわかっていましたが、しかしそのような退屈な教えでは、生徒がぜんぜん集まらない。

 

そこで、様々な派手な技をたくさん教え、当たっても怪我をしない竹刀を発明し(当時、練習用具は木刀のみで面などの防具もなかったので、練習でさえ命がけだった)、免許皆伝など目に見える形で認可状を与えるなど、その方式が大ヒットして、全国の各藩から生徒を集めて大繁盛しました。

 

見るからにわかりやすくてっとりばやい教えのほうが、今に限らず昔からなにかと人気が出るようです。だが、はたして実戦で効果的なのは、どのようなものなのでしょう。