【怨望】

福沢諭吉は『学問のすゝめ』において、人間最大の禍の元は怨望(えんぼう)にあり、と言います。

 

「怨望はあたかも衆愚の母のごとく、人間の悪事はこれによりずべからざるものなし。

疑猜(猜疑)、嫉妬、恐怖、卑怯の類は、みな怨望より生ずるものにて、その内形にあらわるるところは私語・密話・内談・.秘計、その外形に破裂するところは、徒党・暗殺・一揆・内乱、秋毫も国に益することなくして、禍の全国に波及するに至りては、主客ともに免るることを得ず。(第十三編)

 

「怨望」とは、恨みばかりではなく、それに妬みとか嫉みが入りまじった感情です。世のすべての悪事はこの怨望から起こる、と。

 

昨今をおもえば、消費性向を促したいテレビなどは、CMばかりでなく番組そのものから羨望や嫉妬、つまり怨望を煽る内容になっています。

経済活性化を叫ぶ地方自治体や政府までがそれを推奨し、どうにも情けない状況になっています。

 

なにも向上心による高い目標を持つなということではありませんが、自分自身が自立して、自足していて、個性にそって生きることに確信をもっていれば、人を恨んだり妬んだりすることはないはずです。

そういう人は、他人のことは気にしないと思います。

あれもこれもムリなのです。