【こゝろ】

官費でロンドンへ留学した夏目漱石は、いまでいう鬱病になってしまいます。

 

「紳士は意思を明確にし、自分の考えを元気にはっきりと述べる」

てのが、あちらの上流階級の流。

 

しかし、男だからって、何事もはっきり言わないのが、それまでの日本流。

身に染み付いた日本的礼節やマナーが、漱石を苦悩させます。

 

開国当時、欧米の進歩に驚いた日本は、追いつけ追い越せの明治期。とりあえず真似からはじめましたが、受け入れるのに、みんな苦労したみたいです。

 

その苦悩が、「こゝろ三部作」と呼ばれる、

前期『三四郎』『それから』『門』、後期『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』

を生み出します。

 

『三四郎』の冒頭、汽車に乗り合わせた男に、三四郎が「しかし、これから日本もだんだん発展するでしよう」と問うと、男は「滅びるね」とだけ答えます。

 

外来の価値観への抵抗というか、揺り戻しが、大正期にやってきたのですね。

 

文豪でさえ、気苦労は多い。昨日のブログの参考までに。

 

 

ABD個性運命学