【シュメル、エジプト文明の違い】

古代の高度な文明といえば、メソポタミアの他に、古代エジプト文明を思い浮かべる方が多いと思います。

 

「ナイルの賜物」といわれるように、古代のエジプトは、とても恵まれた地域でした。

むかしからエジプトの農産物は、ナイル川が運んでくる肥沃な黒土によって豊かな収穫が約束されました。ここ数万年の年代記では、エジプトはほとんど雨が降りません。すべての水がナイルによってもたらされています。

 

洪水が農作物をよく育てるというのはメソポタミアも同じですが、予期せぬ雨によって氾濫し大きな水害をもたらずチグリス川と異なり、ナイルは毎年決まった時期に、正確な分量の水位が上昇します。

世界で二番目に長いナイルは、昨日降って今日増水するといった日本の河川とはスケールが違います。5月ごろエチオピアに降ったモンスーンは、はるばる流れて7月ごろナイルへ流れ込み、カイロ付近では7月終わりから増水が始まり、9月下旬から10月にかけて水位が最高になる。11月ごろから水が引き、翌年6月には水位が最低になる。これが毎年正確に繰り返されます。農耕を含むすべての行事が、ナイルのサイクル(天然の暦時計)にあわせて行われますから、実はエジプトでは、精度の高い暦が発達しませんでした。

 

グーグルマップの航空写真でご覧になるとわかりますが、エジプトの民が住まう緑の農耕地帯は、ナイルの両岸に沿って南北に細長く伸びています。この地域は雨が降らないので、世界一広大なサハラ砂漠で東西を挟まれています。過酷な砂漠が、長年にわたって外敵の侵入を阻んできました。そして北の地中海河口は船が接岸しにくいパピルスだらけの大湿地帯。ナイルの南もアスワンの6箇所の急流が船の往来を不可能にしていて、大軍の移動ができません。

天然の要害に囲まれたエジプトは、ナイルの豊かな農産物と相まって、長年の平和を謳歌し、周囲から孤立した独自の王朝文化を育みます。

 

メソポタミアは、肥沃であっても、四方から外敵が侵入しやすい土地柄。シュメル人を含むメソポタミアの民は、常に侵略者と闘いの歴史でした(そして現在も)。